Services と Research & Writing — 実務と設計メモの往復。

Fragment Practice の仕事は、現場での実務支援(Services)と、それを支える設計メモ・ケースノート(Research & Writing)の往復で成り立っています。プロジェクトごとに生まれる論点や判断軸を抽出し、機密情報を取り除いたうえで、再利用できる形にまとめる—— その積み重ねが、このページで紹介しているコンテンツです。

Services 側で扱っていること
  • 個人/チームの「人 × AI × メモ・会議・ログ・タスク」を棚卸しし、主要なユースケースとボトルネックを特定する。
  • AI 設定・ノート構造・会議体・ログ設計を、一緒に手を動かしながら現場で続けられるプロトコルとして整える。
  • セキュリティ/IT-BCP/委託先管理など既存の枠組みと、AI 利用ルール・ドキュメントフローを同じテーブルで扱い、矛盾を減らす。
Research & Writing で行っていること
  • 実務の中で繰り返し現れるパターンや判断を、フレームワーク・ケースノート・チェックリストとして抽象化し、他の文脈でも使える形にする。
  • Fragment System / Prism Protocol / QFS / Health & Rhythm / Streams などのレイヤーを、文章と YAML(設定ファイル)として更新し続ける。
  • ZINE・エッセイ・トーク資料・Applied write-up として公開し、社内外の議論や共同研究の共通言語として活用できるようにする。

Research & Writing の主なライン

Services ページで紹介している 4 つの入り口 (個人向けスターター/個人向け伴走/チーム向け/リサーチ&プロトタイプ)に対応するように、 Research & Writing もいくつかのラインに分かれています。ここでは、どのような種類のノートや文章が積み上がっているのかをイメージしやすいように整理しています。

個人の仕事と AI を扱うノート・エッセイ

経営者・フリーランス・プロジェクト責任者など、個人単位で人と AI の分担を設計している方の実務から生まれたノート・エッセイのラインです。

  • AI × 仕事の相性パターンや、ありがちなつまずき方を整理した短いエッセイ。
  • 日々のログ・ジャーナル・Fragment をもとにした、集中しやすい時間帯や負荷の波の記録。
  • 「どこまで AI に任せるか」「どこからは自分で判断するか」を Health & Rhythm レイヤーと紐づけて考えた実験メモ。
チーム/組織向けのケースノート

既存の会議体・チャット・ナレッジベース・AI ツールを大きく変えずに、「人 × AI の分担」と「情報の流れ」を揃えていくプロセスを整理したケースノートのラインです。

  • 会議メモ → AI 要約 → タスク化までの標準フローと、その検証・ふりかえり。
  • AI 利用ポリシー/クイックリファレンス/チェックリストの草案と、現場からのフィードバックを踏まえた改訂ログ。
  • オンボーディングガイドやトレーニング資料を、「現場で実際に回る手順」として組み立てる際の設計メモ。
フレームワークと設計メモ(Fragment / Prism / QFS など)

複数のプロジェクトをまたいで使われる設計フレームや概念レイヤーを整理したラインです。実務での使いやすさを重視しつつ、研究としても追跡可能な粒度で書いています。

  • Prism 設定(役割・トーン・禁止事項・境界条件など)の YAML スキーマと、その背景にある考え方の解説ノート。
  • 「いつもの言い回し」や判断基準を扱う QFS(言語・認知レイヤー)のメモと、タグ設計・レビュー観点への落とし込み。
  • Health & Rhythm/Streams が、ノート設計・アクセス制御・レビュー頻度にどう影響するかをまとめた設計メモ。
ZINE / Talk / Applied write-up

実験やクライアントワークから得られた知見を、社内外の共有を前提としたアウトプットにまとめるラインです。研究者・実務家・経営層が同じ前提に立てるよう、前提条件や制約も明示します。

  • Fragment / Prism / Quiet Systems をテーマにした小さな ZINE や冊子。
  • カンファレンスや社内勉強会向けのトーク資料と、そのベースになったノート。
  • 実験プロトタイプや観察結果をまとめた Applied write-up (論文と実務レポートの中間の粒度の文章)。

Thematic spine — コンサルティングを支えるレイヤー構造

About ページで紹介している「Research Backbone(2012–2025)」は、Fragment Practice がどのような文脈から生まれたかを示す年表でした。ここでは、その背景をいくつかのレイヤー(層)として整理し、コンサルティングと Research & Writing をつなぐ共通言語としています。 難しい理論というよりも、「どの情報をどの層で扱うか」「どこで線を引くか」を決めるための設計ラベルに近いイメージです。

Fragment System & Prism Protocol

Fragments × roles, tone, ethics, rendering

Fragment System は、メモ・チャット・会議メモ・ログ・タスクなど日々の情報を「Fragment(断片)」として扱う枠組みです。Prism Protocol は、 その断片を 誰に/どの役割で/どのトーンで/どこまで見せるかを決めるレンダリングの約束事です。 倫理や価値観も「Prism 設定(Ethics Configuration)」として定義し、 セキュリティポリシーやガバナンスと自然につながるように設計しています。

Quantum Fragment Syntax(QFS)

Cognitive–linguistic layer for fragments

QFS は、まだ言語化されていない感覚や判断がどのようにFragment になり、さらに重なって「いつもの言い回し」「チームとしての価値観」になっていくかを扱うレイヤーです。実務では、タグ設計・YAML スキーマ・ジャーナルフォーマット、「ログに残す/残さない」の線引きなどに影響します。

Health & Rhythm Layer

Sensitive fragments & cadence design

健康状態・コンディション・家族の予定・チームの負荷状況といった情報も、本質的には Fragment ですが、扱いに配慮が必要な断片です。どこまで記録するか、どこからは AI ログに残さないか、どの頻度でレビューするか。こうしたリズム設計(cadence design)を扱うのが Health & Rhythm レイヤーで、「働き方」と「情報の扱い方」を一緒に設計する際の土台になっています。

Streams(AT Protocol など外側のレイヤー)

Distribution, provenance, outer publishing

Streams レイヤーは、ノートの外側に出ていく Fragment を扱います。リアルタイム投稿・アクティビティストリーム・分散ストレージなどが対象です。AT Protocol のような基盤は、公開範囲・アクセス制御・来歴 (provenance)を担う「外側の層」として位置づけています。セキュリティ/IT-BCP の実務で培った「誰が・どの文脈で・どこまでアクセスできるか」という視点を、そのままここに持ち込んでいます。

研究・文章化の進め方 — 実務とリサーチをつなぐ小さなループ。

Fragment Practice の研究は、いきなり大規模な調査や理論構築を行うのではなく、「小さく試す → 観察する → 言語化する」を繰り返すことで進めています。About にある Career Story の各フェーズで得た経験を、現在の Fragment System / Prism / QFS に結び直していくプロセスとも言えます。

Step 1

Frame — テーマと境界線を決める

1〜2 週間で、対象とするテーマ(例:AI 利用プロトコル/ノート構造/Health & Rhythm など)を明確にし、扱う Fragment・扱わない Fragment の境界線をすり合わせます。 NDA やセキュリティ要件、公開の有無・範囲など、研究として扱ってよい「範囲」を先に設計します。

Step 2

Sketch — 試作と観察

数週間のあいだ、テキストファーストのアーティファクト(ノート・YAML 設定・簡易ボット・ チェックリストなど)を既存のワークフローにそっと埋め込みます。AI ログや会議メモから Fragment を集めつつ、現場の負荷を増やさずに、どこまで変えられるか を観察します。

Step 3

Write & Share — 書き、共有する

結果を ZINE・エッセイ・内部レポート・トーク資料などの形でまとめます。そこで見えてきたパターンを Fragment System や Prism の構成要素に還元し、次のプロジェクトのテンプレートとして活用します。 この小さなループを重ねることで、現場に馴染む静かなシステム(Quiet Systems)が形成されていきます。

ご一緒しやすい Research & Writing プロジェクト例

研究機関・企業・チームとのコラボレーションは、「純粋な研究」と「現場に根ざした小さな実験」の中間に位置することが多いです。 About にあるセキュリティ・AI・ノート設計の実務経験を前提に、無理のないスコープから始めることを大切にしています。

研究者・ラボとの共同研究

Joint studies / visiting / commissioned work

  • Fragment / Prism / QFS を前提にした、小さな研究設計(premise・protocol・metric)の共創。
  • テキストベースのアーティファクトや YAML スキーマ、簡易ツールの設計・実装を通じたプロトコルの検証。
  • 日英バイリンガルでの論考・ZINE・ノート公開など、アウトプット設計と文章化のサポート。

企業・チームとの applied research

Applied research / talks / internal reflection

  • 既存のワークフロー(チャット・会議・ノート・AI ツール)の中に、小さなプロトタイプや観察ログを埋め込み、負荷をかけすぎない実験を行う。
  • 実験ログとふりかえりをもとに、AI 利用ガイドライン・セキュリティポリシー・トレーニング資料に還元する。
  • NDA と Health & Rhythm レイヤーの考え方を組み合わせ、センシティブな Fragment を守りながら設計する。

Outputs — どのようなかたちで残るか

Research & Writing の成果物は、プロジェクトの性質と公開範囲に応じて設計します。 共通して重視しているのは、いずれのアウトプットも「後から読み直せるテキスト」であり、Services や About に書かれている専門領域と自然につながる背骨としてのノートになっていることです。

  • ZINE issues — 断片・対話・図を組み合わせた小さな冊子。 限定的な部数/共有範囲で、実験やプロトコル設計の手触りをそのまま伝えます。
  • Essays & notes — 設計メモ・評価軸・研究ログなど。 実際のプロジェクトで使われている言葉に近い形で整理し、後から参照しやすく構造化します。
  • Talks & workshops — Fragment System / Prism / Quiet Systems の型を、具体的なケースと演習を通じて体験していただく場です。
  • Applied write-ups — 実験プロトタイプや観察結果をまとめた 「論文と実務レポートのあいだ」の文章。再現性と現場感の両方を意識し、 次のプロジェクトにそのまま持ち込める粒度で書きます。

小さな Fragment から、実務につながるノートへ。

研究プロジェクトとしても、現場に沿った小さな試行としても、少数の Fragment と短いノートから始めることができます。About で触れているキャリアと専門性を土台にしつつ、あなたやチームの実務に合うリズムで、 一緒に観察し、設計し、静かに書き残していければと思います。